新聞紙を試し切りする理由
Youtubeなどで当店の動画をご覧いただいている方はご存じかと思いますが、研ぎ終わった後の試し切りには、小さく切った新聞紙を二つ折りにして使っています。
新聞紙を用いる理由は、刃の状態を繊細に感じ取りやすいからです。包丁は本来食材を切る道具ですので、試すなら食材が理想です。しかし食べない食材を使えばフードロスになりますし、肉・魚・野菜など種類や個体差によって切れ味の評価は一定しません。その点、新聞紙は均質で刃にやさしく、再現性のある検証が可能です。
他店では大きな新聞紙を長く切る方法も見られますが、私の経験では二つ折りにした方が正確に状態を把握できます。さらに、切っ先から刃元まで3か所以上で確認することで、研ぎムラやヌケの鈍さも明確にわかります。
一方、海外の動画ではペットボトルを勢いよく叩き切ったり、木材を削るパフォーマンスをよく見かけます。外国製の刃物は欠けにくさを重視しているため、それも合理的なのかもしれません。しかし正直なところ、包丁の試し切りとしては「何を目的にしているのか」私には理解しがたいものです。

日本の包丁は、毛が剃れるほどの滑らかさを誇り、その鋭さは剃刀に匹敵します。食材へのダメージを最小限にとどめ、生で食べる美味しさを引き立てるのが特長です。剃刀で木を削る人がいないように、包丁もガツガツと叩きつける道具ではありません。とても繊細な刃ですので、ぜひ優しく丁寧に使っていただければ幸いです。
