【研ぎ事例】刃先の状態をミクロで知る

刃物研ぎは職人の「感覚」や「経験」による部分が大きく、研ぎ終えたあとは切れ味のテストを行ってからお客様にお渡ししています。
しかしながら、「刃物がいま実際にどのような状態なのか」を示す客観的な情報は意外と少ないのが現実です。

今回は、ダマスカスの菜切り包丁を研ぎました。
肉眼で見たかぎりでは、小さな欠けが数か所あるものの、全体的には状態は悪くなさそうに見えました。


顕微鏡で見えてきた刃先の真実

ところが、顕微鏡で確認してみると、肉眼では気づかない多数の微細な欠けがあり、さらに**孔食(ピッティング)**と呼ばれる腐食も確認できました。

※孔食(こうしょく)とは、ステンレス鋼などに見られる局所的な腐食現象で、
金属表面に針で突いたような微細な穴(ピット)が形成され、そこから内部に腐食が進行していく状態を指します。

欠けの状態と研ぎの仕上がり

写真は、肉眼でも確認できる欠けの様子です。

欠けた部分を削り、仕上げ砥石で丁寧に磨き上げることで、研ぎ傷も滑らかになり、刃先が整っていくのが分かります。

顕微鏡による観察の有効性

作業中にはルーペを使うことはありますが、今回のように顕微鏡で観察すると非常に興味深い発見があります。
出張研ぎの現場では顕微鏡を使うことはできませんが、こうした観察を通じて、刃先のわずかな変化や傷みを見逃さず、より的確な研ぎにつなげられると実感しました。

今後の研ぎにも、この経験を活かしていこうと思います。

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