
包丁研ぎは本当に簡単で手早くできる?
「家庭でできる簡単な包丁の研ぎ方」や「プロが教える最速包丁研ぎ」といったタイトルのコンテンツを目にすることが多いですが、残念ながらこれらではきちんとした包丁研ぎを学ぶことは難しいです。多くの情報が、刃先をわずかに削るだけの「小刃研ぎ」を説明しているに過ぎないからです。
包丁研ぎには厚み調整が不可欠
多くの人が包丁研ぎを刃先を少し研ぐことだと思っていますが、実際にはそれだけでは不十分です。
正しく切れるようにするためには、包丁の状態に合わせて厚みのバランスを調整しながら刃先以外の部分も研ぐ必要があります。
包丁は刃先から刃の嶺までがテーパー状になっているため、研ぐと刃が厚くなり、食材への抵抗が増して切れにくくなります。
これに対処するため、常に厚みの調整が必要なのです。

Cさらに刃先だけを研ぎ減らした状態
D黄色の部分を削って厚み調整が必要

刃先だけ研ぎ減らした失敗事例
残念ながら、多くの解説動画や記事ではこの点が省かれており、砥石を使って一定の角度で研ぐことだけが強調されています。
包丁のパッケージにもその程度の説明しか書かれていないため、多くの人が誤解しているのは無理もありません。
しかし、厚み調整は非常に難しく、一朝一夕には習得できません。このため、あえて説明しないという見方もあります。
写真は刃先だけを研ぎ減らして丸っ刃になり、全く切れなくなってしまった一例です。

決まった角度は存在しない
「研ぐ角度はどれくらい?」という疑問を持つ方も多いですが、これも誤解の元です。
初心者向けの研ぎ方では刃先の角度が強調されますが、特に決まった角度はありません。しいて言えば刃先は30°を下回ると欠けやすくなるため、それ以上の角度が望ましいです。切れ味を考えると、40°くらいが平均的です。つまり、片側20°くらいで研ぐのですが、これはあくまで小刃付けのための角度です。
よく「10円玉2枚分の角度」と言われますが、実際に測ると約15°(両面で30°)です。この角度で仕上げた場合は刃先が薄くなりすぎて欠けやすくなります。あえて言えばこの角度は側面のヒラを研いで厚み調整をする際の角度と言えます。つまり刃先の研ぎと厚み調整の角度が混同されているのです。
ではヒラを研ぐとなると特に多くの方は包丁をかなり寝かせて研ぐため、刃先が研げずに側面を傷だらけにするだけで終わります。
実際は包丁側面(テーパーの形状)や、研ぐ箇所によって研ぎ方は異なるため、どの角度で研ぐかの判断は経験が必要です。
刃先だけ研ぎ続けると包丁の寿命が縮む
刃先だけを研ぎ続けると、切れ味がどんどん悪くなり、最終的にはまったく切れなくなります。シャープナーを使い続けても同じです。刃先だけを研ぐことは、刃を潰していることと同じで、包丁の幅が狭くなり、切れ味が低下します。
適切に厚み調整を行っていれば、切れ味を維持し、刃を無駄に削ることもありません。適度な日常のメンテナンス(小刃研ぎ)は無理のない範囲で自分で行い、定期的に専門店でリフレッシュしてもらうことで、快適で効率的な包丁の使用が可能になります。
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