【研ぎ事例】鋼と地金が分離した包丁

今回は、非常に珍しい状態の割込包丁(三徳包丁)をお預かりしました。

ある飲食店で、従業員が誤って床に落としてしまったとのこと。切先の鋼部分だけが折れて脱落し、地金だけが残った状態で、まるで鋼と地金が剥がれたような不思議な姿になっていました。

鍛接不良(アイケ)?

このような状態を見て真っ先に思い浮かんだのは「アイケ」と呼ばれる鍛接不良です。
ただし、アイケ自体は和包丁に見られるものの非常に珍しく、実物を目にする機会も多くありません。

今回の包丁は、芯材に炭素鋼、側材にステンレスを使用した「割込構造」でした。
通常、包丁が落下して破損する場合は、鋼と地金の両方が一緒に欠けることが多いのですが、今回のように芯の鋼部分だけがポロッと取れてしまうのはかなり稀です。

見た目としては、まるで色鉛筆の芯が抜け落ちたような印象でした。

今回の対応

このような状態ではありますが、包丁として再生できるよう、研ぎの作業を慎重に進めさせていただきました

割込包丁の構造や材質の相性、製造工程の精度がこうしたトラブルに繋がることもあるため、今後の研ぎ作業の参考としても非常に貴重な事例となりました。

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