荒砥が必要なのはどんな時か

砥石は、用途に応じて粗さを使い分けます。

「荒砥」と呼ばれる砥石は、一般的に番手400番未満の、砥粒が最も粗い砥石を指します。

主な用途は、刃物の形状を大きく修正する作業です。刃こぼれの修正、刃先の変形や歪み取り、刃の厚み調整など、中砥では削りきれない場合に効率よく削ることができます。

ただし、使用には十分な注意が必要です。荒砥は非常によく削れる反面、不用意に使うと形を整えるどころか、かえって刃物を大きく変形させてしまう恐れがあります。そのため、扱うには知識と経験、そして慎重な研ぎが求められます。

また、荒砥は深い研ぎ傷が残るため、その後は中砥や仕上げ砥で傷を丁寧に取り除く工程も欠かせません。

使用する番手は刃物の状態や目的によって異なり、「この番手を使えばよい」という決まりはありません。状況を見極めて適切な砥石を選ぶためには、経験・知識・技術が不可欠です。

そのため、「早く削れるから」という理由だけで荒砥を使うのはおすすめできません。見た目が悪くなるだけでなく、最悪の場合は刃物を修復できないほど傷めてしまうこともあります。実際に、そのような状態になった刃物を私は数多く見てきました。

初心者の方は、基本的に荒砥は使用しないほうが安全です。一般的な包丁のメンテナンスであれば、中砥だけで十分な場合がほとんどであり、荒砥が必要になる場面は決して多くありません。

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