研いではいけない包丁

刃が付かないナイフ
セラミックの包丁を除いて金属の包丁なら何でも研げると思っていました。
しかし、そうではないことを初めて知りました。

先日研いだこの果物ナイフはいくら研いでも刃が付きませんでした。
荒砥でしっかりバリを出しても中砥で擦るとそのバリが取れてツルツルになってしまう。刃の目が細かくなるのではなく、完全に取れてしまうので指で刃を擦っても切れないほどまったく刃が付かなかった。
鋼材が柔らかい割に刃が付かないというのは古い中国製の刃物にはありがちなパターンではあるものの、あまりにおかしいので調べてみました。
有名ブランド?

刻印されているリチャードソンシェフィールド(Richardson Sheffield)は元英国のメーカー。鋏とナイフの大手でしたが買収を続けて巨大化した後、経営破綻しオランダの会社に買われたようです。
このモデルは既に廃番になったようですが「ゴールドファインエッジ」という名称で牛刀、三徳合わせて3本セットで5000円くらいで販売されていました。このメーカーの生産はほとんど東アジアということなので恐らく価格的にも中国製だと思われます。
絶対に研がないこと
素材的には地金に使うような刃にはならないステンレスと思われましたが、この包丁は「絶対に研いではいけない」と注意書きがあったようです。表面に名前の由来となる金色のコーティングがしてありましたが、それがチタンらしく使用すると柔らかい鋼材が削れて硬いチタンが残ることで擬似的な刃を維持するという理屈なようです。研いでしまうとチタンコートが取れるため、ただのなまくらナイフになってしまう訳です。
研がずに20年保証?
しかし、チタンコーティングによる切れ味抜群「20年保証」とあるものの、ネットの評判はすこぶるよろしく無い。依頼主も「買ったときからまったく切れない」とおっしゃっていましたが・・・。
この原理に似た包丁は他にもありますが、ただ切れ込むように刃先をざらつかせる程度なので鋭い切れ味は期待できません。荒砥だけで仕上げたようなラフで取り敢えず切れればなんでも良いという感じでしかないのです。