「おたくは機械で研ぐの?」と、たまに聞かれます。
「ええ。でも手と両方です。」
「やっぱり、手で研いでいるからいいのよね」とも言われます。
「いえ、機械も使いますよ」
「・・・・」
ちゃんと研げれば機械でも手でもどちらでも良いと思うのですが、なぜそのような質問をされるのか知りたくなり理由を尋ねると、
「以前、イベントに来ていた大工さんに頼んだら全く切れなかったの。その人は機械で手早くやっていたから・・」
「う・・・ん、 それは、包丁をよく知らない人が不適切な機械を使って雑に削ったからです。『機械研ぎ』そのものがダメという訳ではないですよ。」
「あら、そうなの!?」
「私より上手なプロ中のプロも機械を駆使してますし、刃物メーカーではほとんど手研ぎはしませんから。」
機械か手か、どんな砥石を使うかは手段であって目的ではない。
手早くきれいに仕上がる機械は使い方次第。機械だけで済めば楽なのですが、自分はそこまで使いこなせていないので手を加えています。
ちなみに写真のように手に持った刃物を回転する砥石(円砥または水砥といいます)に当てて研ぐ(横に回転する水研機も同様)のは厳密には手研ぎと一緒で手研ぎ以上の技術を要します。機械で研ぐと言っても砥石がモーターで回転しているだけですから。
状態の悪い包丁を人力で研いでいたら時間がかかって仕方ないので電気の力を使っているだけです。逆に手研ぎが出来ない方がこれを使うと包丁がお釈迦になります。
本当の意味での機械研ぎなら刃物工場で使われる自動研磨機が当てはまるでしょう。コンピューターにデータを入力するだけで刃物が成形されるので文字通り機械研ぎだと言えます。
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