まず明確に区別しておきたいのが、金属表面に形成される保護性のある酸化皮膜(パティナ)と、赤錆、そして赤錆の下に生じる黒色の腐食層です。


パティナは炭素鋼などの表面に形成される比較的安定した酸化皮膜で、金属表面を覆うことで、その後の腐食をある程度抑える働きがあります。一方、赤錆は金属を侵食し、放置すると表面を荒らして孔食や深い腐食を引き起こします。
パティナは研磨剤で擦れば比較的容易に除去できますが、基本的には有害なものではなく、無理に取り除く必要はありません。
赤錆も初期の段階であれば研磨剤などで比較的簡単に除去できます。しかし長期間放置すると、その下に黒くザラザラした腐食層が形成されることがあります。この腐食が深くまで進行していると、表面を擦る程度では除去できません。
こうした黒色の腐食層を手作業で除去する場合、砥石で削り取る方法が基本となります。腐食の深さや程度にもよりますが、荒砥を使って少しずつ削り落としていくのがシンプルな方法です。
プロの現場ではグラインダーや研磨機を使用することもありますが、それでも腐食が深い場合には完全に除去できないことがあります。すべて取り除こうとすると、包丁そのものを必要以上に薄くしてしまうため、状態によっては腐食痕をあえて残す判断も必要です。
また、荒砥を使用すると表面に深い研磨傷が残ります。この傷をそのままにすると水分や汚れが残りやすくなり、新たな腐食の原因になることがあります。そのため、荒砥で腐食を除去した後は、より細かい砥石や研磨材を使って表面を整えることが重要です。

